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2008年06月28日

ゴング格闘技 2008年7月号 吉田豪氏の書評記事

新★書評の星座
『芦原英幸伝 我が父、その魂』


 多少の問題はあっても結果的には面白い本だった『大山倍達正伝』(新潮社)に続いて、「格技・空手界No.1の嫌われ者を自負する」小島一志が今回ターゲットに選んだのは『空手バカ一代でお馴染みのケンカ十段・芦原英幸! マスコミ嫌いだった彼の姿を、芦原会館2代目館長でもある息子・英典とのタッグで明らかにする!……のかと思えば、じっくりと取材&検証していた『大山倍達正伝』と比べると、芦原ジュニアの語り下ろしという形式はあまりにもあっさりしすぎだった。
「私たち家族にとって、芦原英幸という人間は、どこにでもいる、少々頑固でワンマンな父親、または夫でしかありませんでした」
 そう前振りしながら、夫婦喧嘩でナイフや手裏剣を投げたり、芦原ジュニアに「マスミ(夫人)を殺せ!」と命令したり、「こうなったら家を燃やしてやるけん」と言い残して本気でガソリンスタンドに行こうとしたりする、どこにもいない父親像を語るのはちょっと面白いのに、どうにも深みが足りないのだ。
 しかも、この本の出版後、芦原会館HPに「この本の中に記載されている特定の団体の名称及び個人名を使用したエピソードに於いてインタビュー・取材時には無かった内容があたかも芦原英典本人が語ったかのように書かれております」と書かれてたからビックリ。
 何かと思えば、後書きで小島一志は「私には芦原から托されたことがいくつかあった。極真会館を離れたときの苦悩や辛さ。逆境のなかで戦い続けた日々。そして芦原空手に込めた情熱……」「英典氏の言葉を借りながら、生前の芦原英幸を知る私の『想い』を加味させて頂いた」と書いていたのである! 「我が父」とタイトルにある芦原ジュニアの語り下ろし本なんだから、そこに自分の想いを混ぜて相手が語っている風にしちゃ絶対に駄目でしょ! レイアウト上、一段落とした地の文で自分の意見を書くんだったらともかく!
 空手専門誌の元編集長として、自分が知っている裏ネタを入れたかった気持ちはわかる。
 でも、極真の支部長時代、道場開きのパーティーで多くの来賓者が包んでくれた御祝い金を全部大山総裁が持ち逃げしたとか、芦原会館設立時に極真が拳銃片手の刺客を使って脅しに来たとか書いたり、芦原英幸の葬式に呼んでもいないのに現れた正道会館の石井館長を「弔問にきたのかケンカを売りにきたのか。もちろん売名行為が目的だったんでしょうが、節操がないというか、完全に勘違いしてますよ」バッサリ斬り捨てたりしてたら、そりゃあトラブルにも発展するだろうし……。
 そんなわけで、どうやらこの「『芦原英幸伝』は実質的な絶版」になると決まった模様。
 ところが、だ。この小島一志という人は、「言ってもいないことを書かれた」という芦原ジュニアの指摘に、なぜか大激怒。自身のブログで「『義』に基づき、我々は芦原会館に挑戦を宣言する」「昨日、息子の大志が芦原会館芦原英典館長に『試合』または『私闘』を直接申し入れた。1対1。『試合』ならばノールール。『私闘』は手段を選ばず」「英典氏は息子と戦う事」「支部長の平山は私と戦う事」「試合はメディアのみに公開。しかし『●●通信』とか『○○格闘技』など、格技界に巣喰う御用太鼓持ちメディアが私は大嫌いだ。だから『日刊スポーツ』『デイリースポーツ』などスポーツ新聞媒体や『週刊新潮』『週刊現代』など私に縁のある媒体に取材を依頼する」と宣戦布告したわけである!
 なんでいきなり彼の息子が出てくるのか、意味がサッパリわからないよ! 芦原ジュニアからの謝罪がない限り、「私を支持・擁護してくれる、また私の後見人・後援者が率いるあらゆる団体・組織が芦原会館の敵として過激な『私闘』に挑むだろう」とのことだが、これは完全な脅迫だし! 平山という芦原会館の支部長に対して「これは未だ噂の範疇を越えないが、平山氏は稽古の名を借りて幼い少年少女に猥褻行為を繰り返し、拒絶した児童・生徒に対しては、得意のNetでの誹謗中傷も相変わらずと聞くが、事実は如何や?」と書くのは、もはや完全に名誉毅損!
 彼は、「私にとって生涯の恩人」のはずの芦原英幸が作った組織を、「芦原会館(芦原英幸が病により退いた後の芦原会館である)ほど陰湿で卑怯かつオタク的集団は初めてである」とこき下ろし、「芦原英幸の死が明確になってから、古参の弟子たちが殆ど組織を離れていった。芦原会館側は酷い理由で彼らを非難する。まるで犯罪者呼ばわりだ。しかし実態は全く違う。『芦原家』が我が身かわいさ故に、芦原英幸から直接技術を学んだ高弟たちを次々と粛清していった…これが真相である」などと批判するんだが、もし本当にそんなダメ組織なんだとしたら最初から共著なんか出さなきゃよかったのに!
「芦原英典氏に告ぐ! これ以上の恥をかきたくないのならば、早急に『公式謝罪』することを要求する。アナタの言葉は物書きのプロである私の尊厳と誇りをズタズタに切り裂いたのだ」
 しかし、恥をかいているのは明らかに彼のほうだし、物書きとしてプロじゃないからこそこんな事態にまで発展したはずなのである。
posted by KarateKid at 12:29| Comment(4) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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